活動内容

1.「地域主導(着地)型観光」の考え方

近年、低迷する国内旅行において「地域主導型(以下、「着地型」)」とよばれる新たなコンセプトに注目が集まっています。これまで、旅行会社が主催するパッケージツアーでは、顧客にとって旅の出発地である「発地」、つまりマーケットに近い都市圏の旅行会社において、その企画から造成までが行われてきました。一方、この新たな着地型では、発地の旅行会社にかわって旅先(到着地)である「着地」の人や組織が、地域の資源を活かした地元ならではの商品(サービス)づくりの主体になるという点で新たな事業スキーム(図1)といえるでしょう。

着地型が生まれてきた背景には、情報化の進展とマーケットニーズの変化があげられます。インターネットの普及により全国の情報の入手が容易になりました。いまでは旅行社のスタッフより豊富な情報をもつ顧客は少なくありません。旅なれた現代の旅人は、美しい景観や観光施設を見て地場の味覚を堪能するだけでなく、地域に潜むさまざまな魅力にふれ、その地ならではの歴史や文化が体感できる深い旅の体験や新鮮な感動を求めるようになってきています。

こうした深化したニーズに、宿泊や飲食、観光施設など従来の観光事業者(図2・A)だけでは対応しきれなくなり、地域内の一次産業や二次産業の事業者をはじめ、まちづくり団体、環境保護に取り組むNGO、さらには虫取り名人や釣り名人まで、地元に精通した多種多様な人や組織(図2・B)が、来訪者の受け入れに参画するようになってきたのです。

この動きは、地域で暮らす人の日常的な活動と、来訪者を受け入れる活動との間に協働関係が生まれ、ともに発展することを期待させてくれます。まさに「住んでよし、訪れてよし」という観光まちづくりの実践的な取り組みへと繋がっていくのです。

また、近年、国内旅行が低迷している理由のひとつとして他のレジャーと比較して購入したいと思わせる魅力的な商品が旅のラインナップにないことが指摘されます。そのようななかで、その地ならでは特殊性を大切にしながら地域資源を活かし、地元を熟知した地域の人が主体となる着地型の旅づくり・まちづくりによって、日帰りから滞在型の旅まで、これまでにない魅力的がうみだされ、新たな需要が喚起されることが期待されているのです。


2.着地型観光を推進するために地域に求められる機能

従来の国内旅行は、大規模マーケットを背景に持つ都市部の旅行社が、旅先である地域から宿泊(ホテル・旅館)や飲食・土産物・見学施設といった素材(パーツ)を、スケールメリットを生かして安価に仕入れ、それらを組み込んだパッケージツアーを広く販売してきました。しかし近年は、それらパッケージツアーを購入する人びとは減少し、インターネットで飛行機や宿を直接予約したり、団体ではなく個人や小グループで旅する自由旅行のスタイルが増えてきています。

着地型観光を推進するためには、こうした「十人十色から一人十色へ」といわれる多様なニーズをもった顧客に対して、①商品をつくり、②集客をはかって販売し、③来訪者をもてなす、といった一連の機能を地域内部に有することが必要となってきます。(図3)

着地型の集客交流サービスをうみだしていくためには、地域に埋もれている資源を発掘して観光資源化し、顧客ニーズにあわせて、それらを編集加工して商品(サービス)をつくりあげていくことが求められます。そのためには、宿泊・旅客運送・飲食物販といった観光関連事業者のほかに地域内のあらゆる人や組織と協働することが必要となってきます。

こうした異業種間の連携を通して、地域の魅力を活かした新たな商品(サービス)をうみだし、それを採算のとれるかたちで事業化していくことが、これから地域が取り組むべき課題といえるでしょう。


3.観光地域づくりの核となる「観光地域づくりプラットフォーム」

地域主導型の集客交流サービスを推進するためには、地域資源を活用してサービス(商品)をつくり、マーケットを開拓して販売し、来訪者を受け入れてもてなすといった、一連の業務を地域内部で自律的に行うことが求められます。そのためには、これらの業務を担う組織や人が地域のなかに不可欠となります。

①商品をつくる、②商品を販売する、③来訪者をもてなす、という三つの機能を、地域のなかの誰がどのように担っていくのかは地域特性によって多種多様な形態が想定されます。その選択肢のなかでも極めて有効と思われるのが、地域のなかにこれら機能を一元的に担い、対外的にワンストップ窓口の機能をもつプラットフォームを設けることです。これが「観光地域づくりプラットフォーム」(図4)です。

このプラットフォームの成功事例として、よく知られるのが長野県飯田市に拠点をおく南信州観光公社です。平成13年に設立された同公社は、農業体験や食文化、伝統工芸、自然などの体験メニューを組み込んだ旅行商品をつくり、主に修学旅行の受け入れに取り組んでいます。長野県南部の15市町村と民間企業・団体の出資による株式会社で、旅行業2種の登録をしています。その売上げは約2億円(平成19年度)に達し、そのうち80%が修学旅行商品であり、パッケージ化した旅行商品を県内外の旅行会社に販売しています。

このように集客交流事業を一元的に担う機関を設ける動きは、いま全国で急速に広まりつつあります。マーケットサイドの旅行会社と協働しつつ、依存体質を見直し、地域自ら商品をつくり販売していこうとする自立へ向けた取り組みともいえるでしょう。わが国では、これまであまり見かけなかった業態ですが、ここ10年ほどの間に「着地型旅行商品の企画販売や受託旅行のオペレーション」「MICE関連のオペレーション」「地域資源を活用した地場産品の開発・販売」など地域の内と外をつなぎ、地域内の人や組織のコーディネート役を担う事業主体が各地で生まれてくるようになりました。さらに観光振興そのもののコンセプトが、行政・観光協会・観光事業者・旅行会社が主役となる従来の「国内旅行振興」から、地域の多様な人や組織が参画して取り組む「集客交流事業を活用した地域経済の活性化(観光まちづくり)」に変化してきており、市町村の観光協会のなかにも自主財源を稼ぎプラットフォーム機能を備えるところがでてきています。

観光振興のコンセプトが変化し、新たなコンセプトに沿った主体が登場してきているのですが、残念なことに観光地域づくりプラットフォームの成功事例はまだ少なく、定式化された事業モデルが存在しているわけでもありません。そこで本機構では、各地の観光地域づくりプラットフォームの分析をもとにケーススタディを行うなど相互に学びあい情報交換をすすめ、それぞれの地域におけるプラットフォーム機能の強化と組織づくりの支援を進めていきたいと考えています。 (文責:浮)

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観光地域づくりプラットフォームとは?
観光地域づくりプラットフォーム

「観光地域づくりプラットフォーム」をはじめ、補助金依存からの脱皮に挑戦する「観光協会」など、観光地域づくりの中核組織の発展をとおして、わが国の観光による地域活性化に寄与することを目的とします。(詳細はこちら)



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