第6回 NPO法人 北近畿みらい

2012 年 10 月 25 日


今回も近畿から、注目のDMOの事例です―――。


第6回は、京都府と兵庫県の12市5町からなる北近畿地域をフィールドに活動する「NPO法人北近畿みらい」です。元綾部市長の四方八洲男さんが、市長時代から推進してきた都市農村交流を、広域エリアの各資源をつなぎストーリー性ある付加価値高い着地型プログラムでダイナミックに展開。2010年、域内に多くの人を呼び込もうと立ち上げました。まだ設立2年の新しい団体ながら、その実効性と機動力が高く評価されています。代表の四方さんが紹介します。




地域の概況


京都府と兵庫県をまたぐ北近畿地域は、近畿地方の日本海側、京都府と兵庫県の次の12市5町からなっています。


<京都府>
丹後(京丹後市、宮津市、伊根町、与謝野町)
中丹(舞鶴市、綾部市、福知山市)
南丹(亀岡市、南丹市、京丹波町)


<兵庫県>
但馬(豊岡市、養父市、朝来市、香美町、新温泉町)
丹波(丹波市、篠山市)


北近畿地域は、山陰海岸ジオパークや鬼伝説の大江山、日本三景のひとつ天橋立などの名勝を抱えており、夏には海水浴を、冬にはスキーを楽しむ人が多く訪れています。


食では丹波栗、松葉ガニ、但馬牛、舞鶴牡蛎が、地場産品では豊岡カバンや黒谷和紙などが有名です。舞鶴の赤レンガ倉庫群や伊根の舟屋、竹田城などは映画やドラマのロケ地にもよく使われます。国宝や重要文化財も多く、また、明智光秀 細川ガラシャ、小野小町など多くの歴史上の人物にゆかりがあります。

 



プラットフォーム(DMO)の動きが出てきた背景


私は38歳の時、綾部市にUターンし、市会・府会議員を経て市長を12年間勤めました。


平成10年、綾部市長に就任してすぐ訴えたのは、「市役所は総合サービス業。コスト意識と経営感覚を持とう」。また「21世紀は農業・農村の時代だ」ということでした。

 


市民病院における無借金経営を継続し、見通しのない第3セクターを廃止しました。一方ではニーズがあり経営見通しの確かな第3セクターとして、温泉活用のリゾート施設「緑土」、JR跡地を活用した健康施設「水夢」(すいむ)や50棟のハウスを持ち年間7000万円を売り上げている農業生産法人「農夢」(のうむ)、FM綾部などの事業を立ち上げ、ほとんど黒字で推移しています。

 


他方では限界集落(水源の里)の再生のため条例をつくり、全国協議会(147市町村参加)を結成しました。

459区画の住宅団地、10区画の工業団地も現在、ほぼ売り切ることができました。

 


行政改革を含め、求められているのは、民間の経営感覚です。

 


市長の頃から都市農村交流、グリーンツーリズムの有用性と必要性を訴え、さまざまな施策を展開してきましたが、問題は各市町の各地にさまざまな見所があり、人がいて、話題があったとしても、それぞれ1つずつではどうにもならないという点でした。

 


各地域が個々に努力することを基本に、それらを広域連携の中でつなぎ合わせていかなければなかなかいい物語として完結せず、言い換えればわざわざ観光客が出かけてみようかという場所になっていきません。


北近畿地域でこれらを推進していきたいと、広域圏協議会などいろいろな事業を実施しました。

 


しかし結局、行政だけで行うのは限界がありました。せっかく積み上げた石を積んでは崩し、崩しては積むの繰り返し。


お金があるうち、あるいは有能で熱心な担当者がいるうちは続くのですが、やがては年に1回の総会さえやれば終わりといった感じの尻すぼみに終わるケースが少なくありませんでした。

 


市長を引退後も、「農業・農村の時代に故郷はどうあるべきか」、「人や地域に光を当てなければならない」、「どうすれば北近畿の連携がうまくいくのだろうか」と考え続けてきました。

 


そして最終的には、広域連携して着地型で人を呼び込むためのメニューをつくり、情報を一元的に発信していく組織が必要だとの結論に至りました。

 


「人と人との出会いをつくり、北近畿内での交流とともに、域外から人を温かく呼び込んでいくためのNPOをつくろう」と呼びかけたのが2年前。

それぞれの地域で実績ある皆さんが京都・兵庫の垣根を越えて結集していただき、今の組織が発足しました。

 

 


組織のコンセプト


コンセプトは次の3つです。


①北近畿に強い愛着をもち、志を共にするすべての団体、行政機関、市町民、府県民とともに、プラス思考と軽いフットワークで行動する。


②地域の宝を掘り当てそれを組み合わせるとともに、メニューを維持管理し、強く一元的に発信していくことを目指す。


③行政や旅行業がなかなか手をつけにくい分野、必ずしも儲けにならない分野にも率先的に取り組む(例:ボランティアガイドのレベルアップ)。

 

 


活動内容


発足後2年しか経っておらず、活動はまだまだ初期段階ですが、これまでに以下のような事業を実施してきています。

 


●半農半X(はんのうはんエックス)ツアー(綾部:1泊2日)


●由良川ツアー(京大原生林、美山かやぶきの里、福知山のサケの遡上・産卵を見学:同)


●砂金堀りの体験ツアー(豊岡:日帰り)


●ボランティアガイド発表会(北近畿一円より8組参加)


●北近畿みらい塾(成美大学と共催)

・黒谷和紙講座(綾部)

・竹田城講座(朝来)

・和知の山野草・人形浄瑠璃講座(京丹波)

・篠山町歩き講座(篠山)

・丹後七姫伝説講座(宮津・京丹後)

・山陰海岸ジオパーク講座(豊岡)

・細川幽斎と田辺城講座(舞鶴)


●留学生体験研修(龍谷大より綾部で2回、京産大より京丹後で。2013年冬には京都工芸繊維大。民際を継続し世界平和を確保するためにも、来年度以降はより大規模に取り組む予定)



丹後七姫伝説講座(宮津・京丹後)

 


観光学部を持つ地元の成美大学の協力で、シンポジウムや講演会(財団法人阿蘇地域振興デザインセンター坂元事務局長、溝畑・前観光庁長官など)も開き、啓蒙活動にも力を入れています。シンポジウムには300名ほどが集まりました。


それ以外にはニュースレターの発行、イベントや「大丹波」等地域のモニターツアーの実施、スイーツ商品の開発や観光情報紙の発行(年4回)など、行政の委託を受けて広域的なPR活動に取り組んでいます。



黒谷和紙講座(綾部)

 

 


将来ビジョン


高度成長時代、人口の大都会集中の流れの中で停滞を余儀なくされてきた地方の自然と伝統に今、ようやく陽が当たりつつあります


今後は、農村・漁村にたくさんの人々が足を運び、交流し、地域の経済に資する流れをさらに加速させていきたいと思っています。

 


そのためにも、広域に点在する地域の財を縦や横に結びながら、魅力あるメニューを地域に住む者自身が積極的に提供していきます。そして、そうしてつくり上げた着地型観光プログラムを使って、農山漁村へ行って交流したいという方々を呼び込みます。その結果、定住促進をも図られていくと考えています。



竹田城講座(朝来)

 

 


北近畿みらいと行政の関係


NPO法人の収入は、基本的には会費収入とツアー企画からの事業収入です。が、それらに加え、京都府などからの事業を受託することもあります。


NPOの中心メンバーは皆、各地域のキーパーソンです。そうしたつながりを活かし、イベント実施時には各首長や観光協会の方々に参加いただくなど、大きな理解を得ています。

 


ただ、今のところ、各市町村からの財政的な支援はありません。


着地型ツアーや地元文化の振興は、本来なら地元市町自身が取り組むべきテーマでもあり、人材の提供や一定の必要経費を負担すべきではないかと思っています。しかし、その一方で、官からの資金がなければ何もできないという組織にしてはいけません。「金があるからイベントかモニターツアーでもやるか」、「パンフレットでも作るか」という発想では、今までの繰り返しにしかならないからです。

 

 


組織の課題と今後の展開


最大の課題は集客です。

大手旅行社と提携すれば何とかなるといった甘いものではありません。

そこを1つずつ打開していくことが当面の課題です。

 

要は実践すること。実践しつつ次のメニューを考えていくことです。

 


たとえば、「一点突破、全面展開」を合言葉に、最近力を入れ始めていることの1つが、大学や京都府、地元の市町と連携した留学生の農村・漁村体験です。

 


留学生は京都市の主だった大学だけでも6000人くらいいると言われており、各大学に「日本の田舎体験」を提案しています。

今年初めて、留学生に自己負担額に加えて行政や大学等からの補助金も得て、北近畿を多数の留学生が訪問。大きな手ごたえを感じました。

 


留学生を増やすというのは国や京都府の方針でもあります。

国境を越えた人の交流は民際であり、世界平和につながります。

また、交流や人間同士のつながりが、留学先に日本を選んでくれた若者たちにとっても、また地域にとっても大きな財産になります。

 


本格展開はこれからですが、そうしたことを多くの関係者が実感してくれており、大きな一歩を踏み出せたと思っています。

 

 

 


【組織概要】


NPO法人 北近畿みらい

〒623-0021

京都府綾部市本町2-29-1

TEL 0773-40-2211 FAX 0773-40-2244

http://k-mirai.net/

 


2010年10月5日設立

事務局員数:2名(プロパー)


主な事業

●着地型観光(都市農村交流)の企画運営

●地域情報の発信・出版

●イベント企画運営

●地域の財を発掘

●青少年および地域リーダー育成

●国、都道府県、市町村等への提言

 

 

 

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