第8回 株式会社インプリージョン

2012 年 12 月 14 日


今回取り上げるのは、着地型観光で大阪に年間12万人以上の集客を実現した、関西で今話題の「株式会社インプリージョン」です。

同社は、大阪出身のオダギリサトシさんが、2003年27歳の時に設立。観光プロデューサーとして大阪市内をくまなく歩き、地域資源を独自の視点で分解・組み立てた着地型商品が評判を呼び、また、大手旅行会社、観光施設、地元企業、マスコミなどと連携しながらの積極的な地域プロモーションの展開により、地域に活力を与えています。同社代表のオダギリさんが紹介します。





地域の概況とプラットフォーム(DMO)の動きが出てきた背景


学生時代から学生アルバイトの斡旋など商売をすることが好きでした。大学卒業後、民間企業で働くも、漠然と「いつか独立したい」との思いがありました。もっと本格的に社会や経営について学ぼうと社会人ビジネススクールに通い、そこで地域の課題解決をミッションに働くこと(今でいうソーシャルビジネス)に興味を持つようになりました。


同時期に、自分の住んでいた地域の飲食店経営者の方から、「近辺の会社がなくなり街から人が減ってきた。けれども日々の店の営業で手一杯で何もできないから将来が不安だ」という話を聞き、そうした問題を解決するビジネスが必要だと感じ、会社員をしながら様々な取り組みを始めました。


当初はインターネットを使って地域情報を発信しました。その取り組みが新聞に取り上げられ、活動が広がっていきました。1年ほどは会社員の仕事と地域を紹介する仕事の二足のわらじをはいていましたが、どちらも中途半端になるのが嫌なので、最終的には会社を辞めて、地域課題を解決するビジネスで独立することにしました。


2003年、地域への来訪者の受け皿をつくろうと、レンタサイクル店を併設した観光案内所を開業しました。来訪者に地域の見どころやおすすめのお店などを紹介するとともに、自転車を貸し出して地域を回ってもらいました。そのうちに自転車を貸し出すだけではなく、いっしょに街に出て直接案内してほしいというニーズが高まり、ガイドツアーを始めました。


当初は自分の住んでいる地域だけでしたが、顧客のニーズが広がるにつれて、いろいろな大阪の地域のガイドツアーをつくりました。それがきっかけとなって、大阪市内を走り回り、独自の視点でまちや各店を分析・編集して観光コンテンツをつくっていくようになりました。



まち歩き風景



その後、2009年に開かれた「水都大阪2009」というイベントをきっかけに、他の2社とともに「大阪旅めがねコンソーシアム」を設立(現在は匿名出資組合として、インプリージョンの外部組織の位置付け)。そうした活動を通して市内各地に仲間が増えていきました。



エリアクルー(2009年当時)



弊社で造成する着地型観光プログラムのコンセプトは、「コミュニティベースドツーリズム(CBT)」です。CBTとは定番の観光エリア(大阪でいえば大阪城や道頓堀、新世界など)をめぐり、記念写真や土産物を買うスタイルだけで終わることなく、訪れた地の“人”や“こと”に触れ合う地域主導型の観光のことです。


ネット社会になり、ガイドブックに書いてあった情報が簡単に無料で手に入り、宿もWebで予約できる時代。消費者のニーズもだんだんとより深い情報、詳しい情報を求めるように変わってきています。名所や旧跡を見学するだけでなく、地域ならではの生活や文化を知ろうというニーズに応えていきたいと思っています。




組織のコンセプト


地域の魅力を再発見し、地域と来訪者との交流機会を創出することを、基本コンセプトとしています。


最近は、各地域のNPOなどの団体が主導して地域の本質的な魅力を伝える活動が行われています。しかしながらそれらの活動は限定的で小規模なことが多く、発地にいる人に情報を伝えきれていません。また、旅行会社の旅行商品は観光化された場所やモノが多いため、観光に来られた方が「地域の人の生活」触れることが難しいという現状があります。


そうした課題をクリアするために、地域が発地企業やマスコミなどと共に、着地型観光プログラムを「つくる」、「知らせる」、「販売する」ことをセットで行い、地域と来訪者との交流機会をつくることをサポートしています。



まち歩き風景(富田林じないまち)



社名のインプリージョンは「良くする」「(価値を)高める」「(組織を)強化する」という意味を持つIMPROVEと、「地域」、「地方」という意味を持つREGIONを組み合わせた造語です。地域が持っている(隠れたあるいは気付いていない)資源を掘り起こして磨き、地域の魅力を高めるお手伝いをしたいという私たちの想いをダイレクトに社名にしました。強いて言えば、インプリージョンとは「(観光を通じて)地域の価値を高める」という意味です。



 


活動内容


事業ミッションは「観光を通じて地域の価値を高める」ことです。


その手段として「誘致」と「発信」を行っています。着地型のプログラムを造成する企画運営をすることや、地域でイベントを行うことは「誘致」の活動です。ただし、誘致の受け皿(ツアーやイベント)をつくるだけでは十分ではありません。同時にそれらを発地に「発信」しないと空振りに終わります。マスコミや発地企業と一緒に展開して「発信を行い、大阪で年間12万人の着地型プログラムの受入れを行っています。


また、旅行会社や観光施設、宿泊施設などとも協働して、地域プロモーションを行っています。



とんぼりリバークルーズ



JAZZクルーズツアー風景



大阪での展開を受けて、大阪以外の地域が地域集客の施策として着地型観光を実施する際も、地元自治体や商工会、NPOなどと一緒に動き、そのサポートやコンサルティングも行っています。


売り上げ比率は大阪での活動が75%、他地域でのコンサルティングが25%になります。



座談会の様子(富田林じないまち)





将来ビジョン


①大阪の魅力をどんどん発信したい


発地には大阪の魅力がまだまだ伝わっていないと実感しています。首都圏や海外にある企業と共に大阪の魅力を伝えることに力を入れていきたいと思っています。


②世界を視野に


現在は国内観光客を対象にした活動しか実施できていません。法的規制もあり、これまでほとんど着手できていませんでしたが、今後は世界市場を視野に入れて展開したいと思っています。中国マーケットだけでなく、東南アジアや南アジアマーケットにもアプローチしていく予定です。

 

 


インプリージョンと行政との関係について


基本姿勢としては、行政が「着地型観光」のために税金をつぎ込み続けることは良いことではないと考えています。着地型とはいえ、観光はサービス産業であり、民間事業者がビジネスとして自立的にマネジメントするべきものだと考えるからです。


とはいえ、マーケットが成熟しているとも言えず、マネジメント方法が確立しているとも言えません。そのため行政が民間の立ち上げをサポートすることは重要だと感じています。

 


また、新たな展開をする際、民間だけではどうにもならない法規制など様々な課題があり、行政と共に動くことで調整や規制緩和などが捗ることも多々あります。

 


先述のように、私たちは、行政とは非常によい協力関係を築きながら業務を進めています。


大阪でも府や大阪市、その他市町村と一緒に展開することも多く、そうした意味でも、私たちの知恵やネットワークが「improve+region」するのに役立っているのだと実感しています。



ツアー打合せ(じないまち)

 


他地域からの依頼も増え、24年度も兵庫県や和歌山県、京都府などで着地型観光支援をさせていただいています。

 


今後も、私たちのノウハウ提供やサポートなどが地域の観光地域づくりに役に立つのであれば積極的に協力をしていきたいと考えています。

 

 


【組織概要】

株式会社 インプリージョン

大阪市阿倍野区阿倍野筋2-4-48金村ビル3F

TEL 06-6624-8555   FAX 06-6624-8505

http://impregion.jp/

 

2003年10月10日設立

事務局員数:5名、アルバイト45名


主な事業

●着地型観光プログラムの企画運営

●自治体や商工会などの地域集客施策のサポート

 

 

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